通信制高校なら不登校でも安心?不登校への対応を紹介
最近は学校に行けない「不登校」の人が増えています。
その原因はさまざまですが、中学校までは義務教育なので不登校でも卒業できても高校に進学できないとか、高校に入ったものの不登校で卒業できないといった問題が起こります。その結果、学歴が中卒になってしまいます。
しかし、通信制高校は通学する必要がないので、不登校の人でも自宅学習で高卒の資格が取得できます。また、不登校の人のための心のケアや進路相談にも対応しています。
不登校の現状
まず簡単に不登校の現状を見てみましょう。
小・中学校では高学年になるほど不登校の数が多い
文部科学省の調査(平成28年度)では、小・中学校の不登校児童生徒数は134,398人で全体の1.4%です。
これを学年別に見てみると次のようになっています。
- 小学1年生……1,579人
- 小学2年生……2,559人
- 小学3年生……3,832人
- 小学4年生……5,598人
- 小学5年生……7,677人
- 小学6年生……9,906人
- 中学1年生……26,360人
- 中学2年生……37,304人
- 中学3年生……39,583人
このように学年が上がるほど不登校の数は増えていき、特に中学校になってからの不登校生徒数が極端に多くなっていることがわかります。
高校生の不登校生徒は約49,000人
一方、同じ調査によると、高校生で不登校になった生徒の数は48,579人で、在籍者数の約1.5%です。
高校で不登校になると中退または留年
高校生の不登校生徒のうち、中途退学に至った生徒数は12,777人(不登校生徒の約26%)、原級留置(留年)は3,678人(不登校生徒の約7.6%)でした。
中学校までは義務教育なので卒業はできますが、高校になるとなかなか学校に復帰するのが難しくなることがわかりますね。
不登校になる原因
小・中学校でも高校でも不登校になる原因として、次の点があげられます。
学校生活に起因するもの | ・友人関係をめぐる問題 ・教師との関係をめぐる問題 ・学業の不振 ・クラブ活動・部活動への不適合 ・校則をめぐる問題 ・進級時の不適応 など |
本人の問題に起因するもの | ・病気による欠席がきっかけとなるケース ・その他本人に関わる問題/td> |
家庭生活に起因するもの | ・家庭の生活環境の急激な変化 ・親子関係をめぐる問題 ・家庭内の不和 など |
不登校になると高校卒業は困難に
原因はさまざまですが、不登校になるとなかなか学校に戻れず勉強は遅れてしまいます。また、友達との会話も合わなくなるため、さらに学校に行きづらくなってしまいます。
中学校の場合は卒業はできても、高校受験に不安を感じたり、同級生と出会うのが不安だと思ったりして進学するかどうか悩む人もいます。
また、高校で不登校になると進級できず留年になってしまいます。1学年下の生徒と同じクラスになってもう1年間勉強するのは精神的に苦痛を感じる人が多く、そのまま中退してしまうケースが多く見られます。
その結果、高校が卒業できず、学歴は「中卒」になってしまいます。
通信制高校が行っている不登校生徒への対応
過去に不登校を経験して中学校の勉強が遅れている人や高校を中退してしまった人でも、通信制高校なら自宅で自分のペースで学習できます。
しかも、卒業は3年以上かかってもいいので、他の人のペースを気にする必要がありません。
また、最近の通信制高校は不登校生徒のためにさまざまな対応を取っているので、より高校卒業がしやすくなっています。いくつかの例をご紹介しましょう。
通信制高校で行っている不登校生徒への対応例
多くの学校で、次のような対応をしています。
- 専属スクールカウンセラーの配置
- ソーシャルワーカーの配置
- 少人数、マンツーマン制のクラス編成
- 不登校の相談窓口を設置
- レベルに応じて中学校1年レベルの学習内容を指導
では、ひとつずつ見ていきましょう。
スクールカウンセラーの配置
スクールカウンセラーとは臨床心理士や精神科医、大学教員などの資格を持つ人で、学校で生徒の不登校や問題行動の対応などに当たります。
近年では災害や事故、事件などが発生した際に、生徒の心のケアも行っています。
通信制高校の中には、スクールカウンセラーを配置して生徒のケアに対応しているところがあります。
ソーシャルワーカーの配置
ソーシャルワーカーとは社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ人の総称で、広く社会福祉事業に当たります。
特に学校現場では「スクールソーシャルワーカー」と呼ばれる仕事があります。これは児童相談所と教育機関、行政などの橋渡し的な役割を果たしたり、家庭(保護者)の経済状況や就労状況において援助が必要な場合に相談に乗ったりする仕事を行います。
少人数制のクラス編成
もともと通信制高校は自宅学習が中心で、登校するのは年に数回のスクーリングの日だけです。
そのため、全日制高校のように教室で多くの生徒が一斉に授業を受けるということはありません。
ただ、それではつい怠けてしまうという人や通信制高校でも全日制のような高校生活を味わいたいという人がいるため、最近では週に何日か登校する「通学コース」を設けている通信制高校が増えています。
その場合、不登校を経験した人は過去のトラウマから学校に行くことに不安を感じてしまいますが、通信制高校では1クラスの生徒数を多くても20人程度という少人数制にしています。
緊張することなく学校に行けるようになったという人がたくさんいます。
不登校の相談窓口を設置
通信制高校では生徒への対応だけでなく、保護者対応にも力を入れています。
不登校を経験した生徒は、本人も不安ですが保護者も不安を感じているものです。そこで、不登校の相談窓口を設けていつでも相談できるようにしています。
もちろん生徒本人が相談することも可能です。
また、入学前の学校説明会の段階での相談も受け付けているので、気になる学校があれば不登校のことなどを聞いてみましょう。
中学校の学習内容を指導
学校の勉強についていけず不登校になってしまった人は、通信制高校に入っても高校の教科書がなかなか理解できず戸惑うことがあります。
そのまま学習が止まると単位が修得できません。
そういった場合でも、通信制高校の中には小学校や中学校の学習内容から指導してくれるところもあります。遠慮なく相談してみましょう。
こういったことができるのも、少人数制や個人指導が可能な通信制高校だからですね。
不登校へのサポートが充実している通信制高校
通信制高校は登校日が少なく、学校によっては年間4~5日の集中スクーリングのみというケースもあります。
また、不登校で学校に行くのが不安な人でも抵抗なく卒業できる、独自の取りサポートをしている学校も多いので以下にその一例を紹介していきます。
個別サポートをしてくれる中央高等学院
中央高等学院は広域通信制高校 中央国際高等学校の指定サポート校です。
ここでは、特に通学する必要はなく、自分のペースで学習を進められます。
さらに、すべての教師が常勤で、担任制度を取っています。自宅学習が中心ですが、自分の担任の先生がいると心強いものです。
学習の進み具合や進路のこと、単位修得や受験のサポートからその生徒に合った友達の紹介までしてくれます。ちょっとおせっかい?と思うほど親切な学校です。
また、担任の先生以外にも進路指導の先生、受付スタッフ、専門カウンセラーの先生も不登校を経験した生徒の心のケアをしてくれます。
SOS・不登校問題電話相談室がある勇志国際高等学院
勇志国際高等学院では平成26年に開校10年を記念して「SOS・不登校問題電話相談室」を開設しました。
同校では開校以来、多くの不登校生徒や非行に走った生徒を卒業させてきました。その実績を元に、校長自らが電話相談に応じています。相談は無料なので、安心して電話をしてみましょう。
不登校ゼロプロジェクトも展開
勇志国際高等学院では「不登校ゼロプロジェクト」も展開しています。
これは中学校の不登校生徒を学校に復帰できるように支援する取り組みで、インターネットを使って自分のペースで学習できるというものです。
わからないところは何度でも視聴できますし、学習の進み具合や理解度をいつでも確認できます。授業料も主要5教科がテキスト代込みで年間7,000円と格安なのもうれしいですね。(2019年1月現在)
これは中学生が対象ですが、通信制高校に入った生徒に対してもインターネット授業と学習センターでの学習を並行して行い、きめ細かい指導を実施しています。
その結果、多くの生徒が高校を卒業しています。
カウンセラーやスタッフがサポートするNHK学園高等学校
NHK学園高等学校はテレビ(NHKのEテレ)やラジオ放送、インターネットなどを使っての学習が中心ですが、東京本校では2016年4月に「総合教育相談・学習支援センター」を設置しました。
これは日本でも早くから通信制高校を立ち上げ、多くの生徒と関わってきた同校が生徒の悩みを知り尽くしているからこそできることだと言えます。
ここにはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、養護教諭、特別支援学校教諭免許保有者などの多彩なスタッフが在籍しています。
不安があればすぐに相談できるのが強みです。もちろん入学前の相談にも対応しています。
生徒をサポートするスタッフが豊富な代々木高校
代々木高校のスタッフはカウンセラーや臨床心理士、家族支援カウンセラー、コミュニケーションセラピスト、発達障害学習支援サポーターなどさまざまな資格を保有しています。
また、保護者や卒業生も同校の「サポーター」として登録しています。
過去に同じ悩みを持った人が相談に乗ってくれるシステムがあるので安心です。
通信制高校選びに迷ったら
通信制高校でも不登校になった、なりそうな場合は?
とはいえ、不登校から通信制高校に入学した全ての方が卒業できているかというと、残念ながら卒業できていない方もいます。
割合は5%を切っていますが、通信制高校を卒業できずに中退してしまう方も確かにいるのが現実です。
早めに先生に相談する
通信制高校でも不登校に不登校になりそうな場合、とにかく早めに先生へ相談するのが重要です。
原因は勉強でも環境でも構いません。通信制高校の先生は全日制高校の先生と違い、不登校に対する様々な知識があります。
早めに相談することで手遅れになる前に解決方法を提示してくれますし、場合によっては現状のコースや学習計画の変更なども対応してくれます。
支援金などの制度を活用する
経済面の事情で不登校になりそうな場合、国や各都道府県が用意している様々な支援制度を活用しましょう。
例えば国では世帯年収が910万以下の家庭を対象に就学支援金制度を用意しており、活用することで1単位辺り12,030円(最大)の支援金が支給されます。しかもこれは返済する必要がありません。
また、各都道府県では入学金軽減制度や、無利子の奨学金などを用意しているので、これらを活用することで通信制高校にかかる学費を大きく軽減することが可能です。
別な通信制高校に転入する
今通っている通信制高校で不登校になった場合、残念ながらその学校の学習スタイルや空気が合っていない可能性があります。
合っていない学校で不登校になり、卒業できずに終わるくらいならしっかりと卒業できる他の通信制高校に転入し、高卒資格を得た方が確実に今後の人生のためです。
特に以下に当てはまる方は別な通信制高校に転入すると、状況が回復する可能性が高いです。
- 今の学習内容が理解できない
- サポートが不十分、合っていないと感じる
- 仕事があるので登校日数を減らしたい
- 人間関係に悩んでいる
- モチベーションが維持できない
別な通信制高校では上記の悩みは解決する可能性があります。
まずは以下からいくつかの学校の資料請求を行い、サポート体制やスクーリングについて確認しましょう。
そしてその中で良かったと思える学校の説明会やオープンキャンパスに参加し、気に入れば転入をすると良いでしょう。
通信制高校選びに迷ったら
転入先でも就学支援金制度は使えますし、現在の通信制高校で得た単位や出席日数なども引き継げます。
通信制高校なら不登校の人でも安心
通信制高校は登校日が少なく、自宅学習が中心ですし学習の進み具合や疑問点はメールや電話、スクーリングの際に質問できます。
登校した際も少人数制なので、不登校でも問題なく通って卒業を目指すことが可能です。
また、各通信制高校では不登校の人のために入学前の相談にも対応しています。具体的な取り組みや学習方法、学校の雰囲気などは資料請求をして確認しましょう。