通信制高校とは?どんな雰囲気や授業内容なのか簡単に解説!
何らかの事情で高校進学が不可能だった。高校に入学したはいいけれど、自分には合わない学校だったなど、さまざまな理由で通信制高校の転入(入学)を考える方も多いでしょう。
しかし、実際のところ通信制高校とはどのような学校なのか?どのような仕組みで授業を受けられるようになっているのかなど、わからない点も多くありますよね。このことから通信制高校への入学に二の足を踏んでしまう方が多いのもまた事実です。
昨今では自身の興味や将来の夢に沿ったコースもあるなど、全日制の高校と比べても充実したカリキュラムを受けることもできます。本記事ではそんな通信制高校とはどのような高校、学校なのか詳しくご紹介していきます。
動画で記事の内容を簡潔に解説中!
通信制高校とは?全日制や定時制との違いは?
主に通信授業を行う
通信制高校とは、文字通り『通信による教育を行う学校』です。全日制高校のように毎日通学する必要がないので、在学中に芸能活動やスポーツ活動を行ったり、専門コースでゲームの腕を磨いてプロゲーマーを目指すといった、自分の夢や得意とすることを学べる環境が整っています。
もちろん卒業すれば通常の全日制高校と同様、高校卒業の資格を得ることができます。
登校頻度が少なく留年もない
通信制高校は毎日通学する必要がなく、学年制でなく単位制を採用しているので留年も存在しません。
学習できる内容の多様性も全日制高校とはまるで別物なので、近年では人気を受けて通信制高校の数も急増しています。
在籍期間や授業時間が違う
通信制高校と全日制高校・定時制高校の違い以下の通りです。主に授業時間や卒業までの流れが異なります。
高校の種類 | 特徴 |
---|---|
全日制高校 | ・在籍期間は3年 (学年制の学校が多いが単位制の学校もある) ・週5日(平日)に5~6時間の授業がある ・中学卒業時に入試を受けて入学する現役生がほとんど |
定時制高校 | ・在籍期間は3~4年 ・授業は1日4時間前後 ・昼間は働いて夜に通学する「夜間部」が多いが最近は昼間に授業を行う「昼間部」の学校もある ・さまざまな年齢・職業の人が在学している |
通信制高校 | ・在籍期間は3年以上 ・自宅学習が基本で通学は年に数日のスクーリングのみ ・課題レポートの提出、スクーリング、試験に合格することで単位が修得できる ・さまざまな年齢・職業の人が在学している |
なお、全日制高校では出席日数が不足したり、試験の点数が悪かったりすると卒業できないことがあります。
一方、通信制高校は3年以上であれば何年かかってもいいので、74単位を修得することで卒業できます。
※通信制高校の中には年数の上限を設けているところもあります。詳しい違いは以下の記事を参照。
公立と私立の通信制高校はどちらがおすすめ?
勉強、人間関係、将来の夢などすべての面で手厚いサポートを受けられるのは、私立の通信制高校です。学費を考えなければ私立一択でしょう。
一方で公立の通信制高校は私立より学費が安価なものの、サポートが少ないので全日制高校とあまり差がない、意味がないと言っている方もいます。
また、公立は同県内に在住していなければ入学を受け入れていない高校が多く、県外から通うことは難しいです。
県内に公立の通信制高校が多数あるなら良いのですが、県内に数カ所しかない場合は通学時間の負担が非常に大きくなってしまいます。
総合的に見れば私立がおすすめ
一方で私立は広域通信制高校なので、全国からどこでも入学可能です(授業は各地域のキャンパス、サポート校などで行います)
また、私立の方が通学の負担も少なく、学費も令和2年より適応された就学支援金制度を活用すれば大きく抑えることができます。
そのためサポートなどトータル的な面から見ると、私立の通信制高校の方がおすすめといえるでしょう。
通信制高校のメリットやデメリット
通信制高校について詳しく知っていく前に、まずは全日制や定時制の高校と比べて、どのようなメリットデメリットがあるのかを見ていきましょう。
少しでも自身が通いやすい学校であるのかを把握するためにも、良いところ、悪いところの双方を事前に把握、検討していきましょう。
通信制高校のメリット
- 全日制に比べて学費が安い
- 自分のペース、好きな場所で勉強できる
- アルバイト、または自分の好きなことと勉強の両立も可能
通信制高校のデメリット
- スケジュール管理が意外に大変
- 同年代の友人が作りにくい
- 卒業までの年数が全日制より長いところも
以上が通信制高校で考えられるメリット・デメリットの代表的なもの。メリットの中でも無駄に焦らされることがない環境は、ゆっくりと理解していきたい学生さんにはもってこいの環境でしょう。
以下のページでは、通信制高校のメリットデメリットについて、より詳しく解説しているので参考にしてみて下さいね。
通信制高校へ入学・転入する方法や流れ
- 希望通信制高校から資料を取り寄せる
- 願書など必要書類に記入の後、提出&入学選抜料の支払い
- 面接、入試に関する日付連絡が届く
- 面接、入試(面接だけの高校もあり)
- 合否判定(ほぼ合格であることが多い。合格の場合履修科目確認票、入学のしおりが届きます)
- 学費の払い込み用紙、教材が届く
- 学費の納入後に学習のスタート
通信制高校へ入学、転入する場合、まずは通信制高校に資料を請求し、入学に必要な書類や情報を集めて下さい。
無料で請求できる資料には希望の通信制高校はどのような校風なのか、どんなコースがあっていつ転入が認められているのか、そして必要になる書類などが全て載っています。
通信制高校選びに迷ったら
転入の際に必要になる書類としては以下のようなものがあります。
- 単位修得証明書
- 成績証明書
- 在学証明書
- 健康診断書
もちろん希望する通信制高校によっては必要になる書類も変わってきますので、資料を取り寄せて確認しておくと良いでしょう。
資料請求をすると入試に必要な願書なども手に入れることができます。
そもそも転入とは
「転入」とは、別の学校(全日制など)に在籍している生徒が、別の高校へ転入することを指します。いわゆる「転校」と同じ扱いですね。
転入の場合は一般的な転校と同じように、学期の途中から通信制高校へと転入することができます。また、全日制の間にとっておいた単位を通信制高校でも引き継ぐことが可能です。
通信制高校は学年制ではなく単位制を取り入れていることから、単位を引き継ぐことでいつでも転入可能になるのです。
ただし通信制高校に転入といっても、高校によってはカリキュラムやスクーリングの都合から転入時期を4月と10月のみに絞っている高校もあります。
まずはお目当ての高校の資料を取り寄せるなど、情報収集から始めましょう。資料請求は無料で行うことができます。
編入に対応している高校もある
また、別途「編入」と呼ばれる制度に対応している高校もあります。編入は一度全日制の高校を退学した後に通信制高校へ入学する際に使われます。
編入では中退した年度の出席日数は引き継がれないので、転入よりも卒業までに時間がかかる可能性が高くなる点が違いになるでしょう。
学校名 | 転入募集時期 |
---|---|
東京都立通信制高校 | 8月 |
大阪府立通信制高校 | 3月 |
ルネサンス高等学校 | 随時 |
NHK学園高等学校 | 随時(12月中旬まで) |
通信制高校の入学・卒業の時期
通信制高校の入学式は4月と10月に行われることが多いです。そのため、合わせて卒業式も3月と9月に行われることが多いです。
前述した単位を引き継げる「転入」ならいつでもできますが、上述している卒業式の関係で「編入」に関しては4月と10月のみの対応となっています。
ただどちらも学校によって異なるので、気になる学校があれば入学・編入が可能な時期について確認しておくと良いでしょう。
通信制高校の説明会の内容、雰囲気
通信制高校側では親、生徒ともに参加できる「説明会」を設けています。
雰囲気は和気あいあいとしており、先生の丁寧な説明により希望する高校の雰囲気や、どのような授業をしているのかなどがよく分かる内容となっています。
学校によっては雑談などもあるので、説明会といってもあまり堅くならない方が良いでしょう。無理に勧誘されるようなこともありません。
また、各通信制高校が行う説明会の他にも、県や市が開催する「合同相談会」等もあります。
楽しく学ぶためにも自分に合った高校を選択することはとても重要ですので、資料だけではわからない点を説明会で聞いてみましょう。
オープンキャンパスに行ってみるのもおすすめ
通信制高校の中には説明会だけでなく、オープンキャンパスを開催している学校もあります。
オープンキャンパスでは実際に本校や各地のキャンパスに足を運ぶことで、授業内容や学校の雰囲気を肌で感じることが可能です。
また、実際に通信制高校に通っている先輩に話を聞いたり、学校によっては希望の授業を受けることもできます。
一例としておおぞら高等学院では、オープンキャンパスで生徒から人気の高いイラストや声優、ヘアメイク・ネイルなどの授業を体験できます。
高校選びで失敗や後悔をしないためにも、可能ならオープンキャンパスにも足を運ぶことをおすすめします。
通信制高校選びに迷ったら
通信制高校に通うと就職や進学に影響はある?
基本的に通信制高校の卒業という理由で悪影響は出ない
通信制高校の出身だと就職や進学の際に不利になるというイメージがあるかと思います。
しかし通信制に限らず定時制、全日制のすべてが同等の高校卒業資格となります。したがって、通信制高校の卒業というだけで就職や進学で不利になることはありません。
そもそも通信制高校の多くは「◯◯高等学校」「◯◯学院」のような名前になっていますので、自分から通信制高校の出身だと明かさない限り面接の担当者はあなたの出身校が通信制高校だと分かりません。
そして通信制高校だと分からなければ不利になりようがありませんので、安心して下さい。
逆に通信制高校の出身だと高評価な場合も
通信制高校は自宅学習が中心となるため、自分のスケジュール管理を自分で行える能力の高い人が多く、高校によっては社会人でも即戦力クラスの専門知識を持っています。
資格や経歴で実力があることをアピールできれば、むしろ特に資格も実績もない全日制高校の生徒よりも進学・就職の両面で有利になるでしょう。
学校の名前が「〇〇通信制高校」だと流石に通信制とバレる
ただ通信制高校によっては、名前だけで通信制高校だとわかってしまうケースもあるでしょう。
もし学校について聞かれた場合は、正直に通信制高校という事を話さなくてはいけません。
名前によっては就職で不利になることがある
大半の学校では問題ありませんが、古い考えを持っている人の中には通信制高校に対してあまり良いイメージを持っていない方もいます。
特に就職の面接を担当している年代の方には通信制高校への偏見を持っている方がいます。残念ながら、この場合では不利になる可能性がゼロとは断言できません。
大学進学では問題ないケースが大半
逆に大学の進学では通信制高校だとバレても問題ないケースが多いです。これは大学には通信制高校から入学して、実際に通っている方が多いため偏見がないからでしょう。
また、大前提として大学進学でも学校名を記載する必要はありますが、出身校が通信制だと記載する義務はありませんので、名前によっては通信制高校だとバレることもありません。
ちなみに通信制高校の中には指定された枠内でAO入試、推薦での受験も可能です。
通信制高校から推薦枠で名門校に合格した方も数多くいますので安心して下さい。
大学進学を目指すなら進学に強い通信制高校、コース選びが重要
また、通信制高校を選ぶ段階で大学試験を視野に入れているのなら、進学に強い通信制高校、または進学コースのある通信制高校を選びましょう。
進学に特化している通信制高校なら無駄なく勉強を進めていくことも可能です。
実際、塾や予備校に通うまでもなく、通信制高校の進学コースのカリキュラムだけで大学試験を突破した方も多数います。中には通信制から東大に合格した方もいるほどです。
大学進学を目指すなら特に強いのが、「家庭教師のトライ」が運営しているトライ式高等学院という通信制高校です。
一般的な通信制高校の大学進学率が20%前後であるのに対し、トライ式高等学院では65.5%と郡を抜いて高いです。
家庭教師のトライで培った豊富なノウハウと、個人に合わせたサポートがあるからこそ出せる数字でしょう。大学進学を目指す方には非常におすすめできます。
通信制高校選びに迷ったら
通信制高校の偏差値
就職ではなく大学進学を考えるのなら、通信制高校自体の偏差値も気になるものでしょう。しかし、基本的に通信制高校には偏差値という概念がありません。
これはそもそも中学校卒業程度の学力があれば、それだけで入学要素を満たしていると判断する通信制高校が多いからです
そもそも通信制高校では入試で学力をはかる事すら珍しい部類に入ります。
これらのことから偏差値を出す必要性自体がありません。
もちろんごく一部の通信制高校では偏差値を出しているところもありますが、少数派といえるでしょう。
高校自体の偏差値ではなく、自身の偏差値が知りたい場合は一般模試などで計ることも可能です。
通信制高校の入学にかかる学費
- 入学選抜料※入学、転入、編入時1回のみ(受験料とも)
- 入学金
- 授業料
- 教科書代
- その他雑費
上記が通信制高校で必要になる基本的な学費です。入学選抜料や入学金については、一般的な高校での入試の際に必要な「受験料」「入学金」と同じ扱いですね。
したがって通年で必要になるのは、授業料、教科書代、その他雑費になります。
教科書代や雑費は高校によって大きく異なってきますので、以下に入学金と授業料を比べた表を作成しました。
入学金 | 授業料 | |
---|---|---|
全日制高校(公立) | 5,650円 | 118,800円/年間 |
全日制高校(私立) | 250,379円 | 455,345円/年間 |
通信制高校(公立) | 500円 | 330円/1単位 |
通信制高校(私立) | 1万円~10万円 | 1単位7,000円~1万円 |
なお、上記の入学金・授業料は公立(全日制・通信制)は東京都立高校(平成30年度)の金額、全日制の私立高校は東京都内の平成30年度の平均額です。
もちろん、こちらは基本的な物だけであり、高校によっては別途学費が必要な場合もあります。
ただ令和2年より世帯年収が910万未満の家庭であれば、通信制でも「高等学校等就学支援金制度」による就学支援金を受け取れるようになりました。
そのため、多くの家庭では実際にかかる学費はかなり抑えられます。細かいところは以下の記事で詳しく紹介しているので確認してください。
通信制高校の授業内容
通信制高校での授業は基本的にスクーリングの日、もしくは通学コースを選んだ場合のみ行われ、それ以外は自宅学習となります。
授業内容、雰囲気は一般的な全日制高校とそれほど変わりません。ただ全日制・定時制と違い授業は少人数制を採用しているので、一人ひとりに丁寧に教えてもらうことができます。
また、学校によっては海外のように生徒同士のグループワークが行われることもあります。
登校時間
選択したコースによりますが、全日制よりもやや遅い9~10時ころに登校する学校が多いです。
電車などの公共交通機関も通常より空いている時間ですので、登校が苦痛な方も快適に通うことができます。
午前に通常の授業を行い、午後にコース授業を行う学校もある
通信制高校の中には、ゲームや声優、イラスト、ネイル、美容、芸能。スポーツといった様々な専用コースを設けている学校があります。
専門コースのある学校では午前に全日制高校と同様の数学、英語などの必修科目の勉強を行い、午後にeスポーツや声優、スポーツといった選択したコースの授業をやるといった所も多いです。
通信制高校選びに迷ったら
通信制高校の仕組み
- レポートの提出、添削
- スクーリング(面接指導)
回数は週1、年数回など少ない - 単位認定試験を受ける
- 単位取得
- これを74回単位分繰り返し、卒業
通信制高校は上記の5ステップを行うことで単位を取得し、卒業します。
スクーリング(登校日)は学校やコースによって異なり、週に1回程度のところもあれば、ルネサンス高等学校のように年に数回で済む所もあります。
もちろん希望者は週5で通うこともできます。全日制と比較して、登校に関する自由度も高いのが通信制高校の特徴と言えるでしょう。
通信制高校とはまとめ
通信制高校には公立高校と私立高校がありますが、公立に比べて私立の方が、手厚いサポートを受けられる傾向にあります。そのため、「自分一人でコツコツとやっていくのは自信がない」という人は、多少学費が高くても私立の通信制高校を選んだ方がよいでしょう。
逆に「自分の力でレポートを進めて、わからない点は学校に相談しながら、きちんと単位を取っていく自信がある」という人は、公立の通信制高校でも十分やっていけるでしょう。
以下から無料で資料請求をすることができますので、まずは気になった高校の資料請求をしてみることをおすすめしまう。
資料請求をしたからといって入学を強制されるなんてことは一切ありませんので、じっくり資料をみて自分に合った通信制高校を選んで下さい。