高卒認定試験は科目選びが全て!通信制高校との違い
高校を卒業しなくても「高卒と同等の学力がある」と認められるのが「高卒認定試験」です。
高卒認定試験に合格すると、高校を卒業していなくても大学・短大の受験が可能になる、人生で役立つ各種資格の受験ができるといったメリットがあります。
当記事ではそんな高卒認定試験の試験科目や受験内容についてご説明します。
高卒認定試験の科目一覧
6教科14科目ある
高卒認定試験の受験科目は、次の6教科、14科目になっています。地理歴史・公民、理科はいくつかの科目を選択して受験することになります。
(受験科目は平成30年度の場合で、今後変更になることがあります。)
教科 | 試験科目 | 科目数 | 合格要件 |
---|---|---|---|
国語 | 国語 | 1 | 必修 |
地理歴史 | 世界史A、世界史B | 1 | 2科目のいずれか1科目必修 |
日本史A、日本史B | 1 | 4科目のうちいずれか1科目必修 | |
地理A、地理B | |||
公民 | 現代社会 | 1または2 | 「現代社会」1科目または「倫理」及び「政治・経済」の2科目のいずれか必修 |
倫理 | |||
政治・経済 | |||
数学 | 数学 | 1 | 必修 |
理科 | 科学と人間生活 | 2または3 | ※ |
物理基礎 | |||
化学基礎 | |||
生物基礎 | |||
地学基礎 | |||
外国語 | 英語 | 1 | 必修 |
14科目全てに合格しなければいけないと思うと気が重くなるかもしれませんが、実際に受験することになるのは最小で8科目、最多で10科目です。
14科目全ての合格を目指す必要はなく、あくまでも8科目~10科目に合格すれば高卒認定資格を得ることが可能です。
ただ数学、英語、国語、世界史の4科目は必修科目となっており、この他に4~6科目に合格する必要があります。
選択科目について
選択科目に関しては、以下からいずれかを選ぶようになっています。
- 「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」のうち1科目
- 「現代社会」1科目、または「倫理」「政治・経済」の2科目
- 理科は以下のどちらかを選択
「科学と人間生活」の1科目と「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち1科目(合計2科目)
「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち3科目(合計3科目)
合格のコツはなるべく科目数を減らし、勉強時間を集中させることです。そのため不得意科目などでない限り、公民の教科は1科目の受験で済む「現代社会」を選択するなど、なるべく受験する科目を減らしましょう。
高卒認定試験の科目におけるポイント
合格した科目は次回から免除される
高卒認定試験は一度に全科目に合格できなくても大丈夫です。過去に合格した科目は、次の試験で免除されるからです。
また、受験する科目を2回の試験に分けて受けることもできます。計画的に勉強を進めることがポイントです。
選択科目の変更はできない
選択科目をどれにするかは迷う人が多いと思います。最初は○○と△△を選択していても、受験勉強を進めるうちに「やっぱり□□に変えたい」と思うことがあるかも知れません。
しかし、選択科目は願書提出時に申請します。あとから科目の変更はできません。自分の得意な科目、好きな科目、合格後の進路などを考慮して選べばいいですが、どれにするか迷ったときは次のことをポイントにしてください。
地理歴史
地理歴史は世界史AとBから選択することが可能です。個人的には出題範囲が狭く、近現代史が中心なので勉強もやりやすい「世界史A」がおすすめです。
ただあくまでもおすすめですので好きな方を選んでしまって良いでしょう。
公民
公民は「現代社会」、「倫理」、「政治・経済」の中から「現代社会」1科目または「倫理」及び「政治・経済」の2科目のいずれかを選ぶことになっています。
当然、2科目を選択するよりは1科目だけの方が出題範囲が狭くなるので、「現代社会」を選ぶのがおすすめです。
理科
理科は以下の①、②のいずれかを選ぶようになっています。
①「科学と人間生活」の1科目と「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち1科目(合計2科目
②「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち3科目(合計3科目)
基本的には合計2科で済む①の方が楽なように見えますが、ここは自分が得意な科目を選ぶといいでしょう。
特に無い場合は暗記が得意な人は生物・地学、計算が得意な人には化学がおすすめです。
物理は他の科目に比べて難易度が高いので、興味があるという人は選ぶといいですが、苦手な人は避ける方が無難かもしれません。
補足:全科目に合格しなくても大学試験を受ける資格は得られる
高卒認定資格を得るには全科目に合格する必要がありますが、大学入試を受けるだけなら1科目に合格すれば大丈夫です。
抜け道的な手段ですが、通信制高校などの単位制の学校に「科目履修生」として入学し、合格できなかった科目の単位を取得するという方法があります。
実際に認定されるのは3月になるので翌年の受験となってしまいますが、「合格見込成績証明書」が貰えるのでそれで大学受験をすることが可能です。
参考;文部科学省
高卒認定試験に合格しても最終学歴が高卒になるわけではないので、場合によっては得意な1科目に合格→残りの科目は通信制高校などで単位を取得し、大学へ入学して最終学歴を大卒にする、といった道を選んだ方が将来的に役立つ可能性もあります。
通信制高校選びに迷ったら
なお、高卒認定試験を受けるメリットなどについては以下の記事で解説しています。
良ければこちらも合わせてご覧になって下さい。
高卒認定試験には科目を減らせる免除制度がある
高卒認定試験には受験しなければならない科目を減らせる免除制度があります。
これをうまく利用すれば、勉強に費やす時間も少なくなり、より合格しやすくなります。次のような科目が免除の対象になります。
高校在籍中に履修した科目
高校在籍中に履修した科目は、「単位修得証明書」を高卒認定試験の出願時に提出することで免除になります。
ただし、単位修得してから一定以上の期間が経過していると、学校によっては「単位修得証明書」の発行ができない場合があります。事前に学校で確認しておきましょう。
また、高等専門学校で修得した単位も免除の対象になります。
技能検定で合格した科目
下記のように英検や歴史検定の所定級に合格している場合も「合格証明書」を出願時に提出することで免除になります。
試験科目 | 検定名 |
---|---|
世界史B | 歴史能力検定(世界史1級または2級) |
日本史B | 歴史能力検定(日本史1級または2級) |
数学 | 実用数学技能検定(1級、準1級、または2級) |
英語 | ・実用英語技能検定(1級、準1級、2級または準2級) ・英語検定試験(1級または2級) ・国際連合公用語英語検定試験(特A級、A級、B級またはC級) |
ただしこのような制度は変更になる可能性があります。ご自身が受験される前によく確認しておきましょう。
高卒認定試験の日程とスケジュール
高卒認定試験は毎年2回実施されます。それぞれ2日間にわたって行われます。事前に文部科学省のホームページで確認しておきましょう。
参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
出願から試験、結果発表までの流れは、下記の通りです。
1回目 | 2回目 | |
---|---|---|
受験案内配布 | 4月上旬 | 7月下旬 |
出願期間 | 4月下旬~5月上旬 | 8月下旬~9月中旬 |
試験日 | 8月上旬 | 11月上旬 |
結果通知 | 8月下旬 | 12月上旬 |
このように年2回実施されますが、出願期間はそれぞれの試験日の3~4ヶ月前に行われます。忘れないように申し込んで試験に備えましょう。
高卒認定試験の出願方法
出願期限内に以下の必要な書類を提出します。
- 受験願書
- 履歴書
- 写真2枚
- 住民票または戸籍商品
- 受験料分の収入印紙
ただし、次の場合は別途書類が必要になります。
A | 試験科目の一部免除を申請する場合 | 試験科目の免除に必要な書類(単位取得証明書など) |
---|---|---|
B | 過去の高卒認定試験(または大検)で合格した科目がある場合 | 科目合格通知書 |
また他に本籍地や養子縁組などで氏名が変更になった場合はそれを証明する公的な書類が必要になります。
高卒認定試験の受験料
受験料は受験科目によって異なります。また受験料は収入印紙で納めます。
7科目以上受験する場合 | 8,500円 |
4科目以上6科目以下を受験する場合 | 6,500円 |
3科目以下を受験する場合 | 4,500円 |
なお、もし試験当日に欠席した場合でも、一度納めた受験料は払い戻されませんので注意が必要です。
高卒認定試験の試験会場
高卒認定試験の試験会場は各都道府県ごとに1ヶ所設けられています。
会場は各地の高校や大学、専門学校の校舎を試験会場として利用するところもあれば、県の公共施設を利用しているところもあります。これらの試験会場は現住所や本籍地に関係なく、受験したい会場を出願時に選ぶことができます。
ただし、一度選択した会場を変更することはできませんので注意が必要です。
また、会場はその年度によって変わる可能性があります。事前に必ず確認しておきましょう。試験日の数日前には会場の確認をしておくと安心です。最寄駅や交通機関などをよく調べておきましょう。
高卒認定試験と通信制高校を卒業の違い
高卒認定試験と通信制高校はどう違うのでしょうか。
詳しいことは以下ののページでご紹介していますが、内容を比較すると下記のようになります。
高卒認定試験 | 通信制高校 | |
---|---|---|
学歴 | 高校を卒業した人と同等の学力があるとみなされるが、試験合格後に大学・短大を卒業しないと最終学歴は中卒になる | 高卒 |
学習期間 | 早ければ数ヶ月 | 3年以上 |
費用 | 受験料のみ (ただし参考書・問題集や塾・予備校などを利用すると費用がかかる) |
受験料、教科書代、受講料(授業料)、諸費用などで数十万円かかる |
とにかく早く大学受験をしたいという人は高卒認定試験を受けるといいのですが、勉強は独学になりますので分からない部分があっても解決しにくく、サポートなしで学習を続ける強い意志が求められます。
一方、通信制高校は卒業までに最低3年かかりますが、先生の添削指導や面接指導があり、スクーリングでは友達と会うこともできます。
そして卒業すれば最終学歴は中卒のままな高卒認定資格でなく、高校卒業資格を得ることができます。
また、高卒認定試験での合格が狙えなそうな苦手科目のみ、通信制高校で単位を取得してから大学受験を目指すという選択肢も選ぶことが可能です。
アニメや声優、ファッションといった全日制高校にはないユニークなコースもあるので、楽しく高卒認定試験での合格、もしくは高校卒業資格の獲得を目指せるでしょう。
通信制高校選びに迷ったら
高卒認定試験の科目まとめ
高卒認定試験は合格を目指す価値のある試験ですが、苦手科目を含めて全てに合格する必要があるため、状況によっては通信制高校での卒業や、苦手科目の単位取得を狙った方が楽な場合もあります。
自分の目的、学力に合わせて高卒認定試験を受けるか、それとも通信制高校にするかを考えていきましょう。
通信制高校では学習の進め方や進学に関しての相談にも対応しています。資料請求自体は無料ですので、以下に気になる高校があれば資料請求してみるといいでしょう。