定時制課程及び通信制課程修学奨励資金とは?申請方法や注意点も紹介
高校を卒業するには、当然ですが学費がかかります。しかし様々な理由で学費を払うのが難しい場合、条件を満たせば学費を借入出来る制度があります。
その制度の一つが定時制課程及び通信制家庭修学奨励資金ですが、あまり聞きなれない方も多いでしょう。
今回の記事では定時制課程及び通信制家庭修学奨励資金について、詳しく解説していきます。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金とは?
今回の記事で紹介する定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、名前の通り定時制もしくは通信制の高校に通う生徒を対象とした修学奨励資金の制度です。
学費のために借入する制度と言えば大学の奨学金をイメージする方が多いかもしれませんが、奨学金も修学奨励金も基本的には同じです。
ただ奨学金は大学であれば殆どの大学が対象になるのに対し、修学奨励金の場合は対象先の学校がある程度特定されているという違いがあります。
今回紹介する定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、定時制や通信制の高校を対象にしているという点で奨学金とは違います。
しかしどちらも学費のために借入をする、という意味では同じなので定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、大きな意味では通信制や定時制に通うための奨学金と理解しておけば間違いないでしょう。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の対象者
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、誰でも利用出来る訳ではありません。
ここでは制度の対象者について見ていきましょう。
対象者 | 府(県)内の公立・私立の高等学校の定時制課程・通信制課程に学ぶ生徒又は府内に住所を有し他府県の広域通信制課程に学ぶ生徒で、次の要件のいずれにも該当する者 |
---|---|
要件① | 経済的理由により著しく修学が困難な者 |
要件② | 経済的収入を得る職業に就いている者又はこれと同様の状態にある者 |
要件③ | 独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を貸与されていない者 |
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は各自治体が運営している資金のため、自治体毎に違いがある場合もありますが、概ねは上記のような内容となっています。
定時制もしくは通信制の課程を学んでいる生徒で、家庭が経済的に困難な事から、収入を得るために自らも働いている生徒が対象になります。
実際に対象になるかどうかは、住んでいる自治体のHPを確認するようにしましょう。ちなみに上記の対象は京都府の対象者を参考として記載しています。
参照元:京都府「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の支給額
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は先ほども説明したように、各自治体が運営している貸付制度なので利用出来る金額は下記のように自治体によっても違いがあります。
都道府県 | 貸付金額 |
---|---|
京都府 | 月額14,000円(私立の定時制は月額29,000円) |
広島県 | 月額14,000円 |
青森県 | 月額14,000円+通学費用相当額(上限18,000円) |
茨城県 | 月額14,000円 |
福岡県 | 月額14,000円 |
栃木県 | 月額15,000円 |
多くの都道府県では月額14,000円で一律となっていますが、京都府では私立の定時制のみ月額29,000円となっています。
これは私立の方がどうしても学費の負担が重たくなってしまう事を、考慮してくれているのでしょう。
また青森県では月額14,000円に加えて、公共交通機関を使って通学する際にかかる通学費用に応じた上乗せがあります。
毎月の交通費も遠方になると負担なので、交通費分も利用出来るのはとても助かります。
また栃木県は他の県とは違って月額15,000円となっているように、定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は全国一律ではなく、自治体によって利用出来る金額が違うので、詳細は各自治体のHPなどで確認するようにしましょう。
表の参照元
- 京都府「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 広島県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 青森県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 茨城県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 福岡県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 栃木県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金を実施している都道府県
先程も説明したように定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、各都道府県が運営を行っています。
そのため全ての都道府県でこの制度がある訳ではなく、実施していない都道府県もあります。
例えば東京都の場合は、定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の制度はありませんが、その代わりに東京都私学財団などの奨学金を利用する音が出来ます。
このように修学金の制度は都道府県によって違いますが、今回紹介している定時制課程及び通信制課程修学奨励資金を実施している都道府県は下記になります。
全ての都道府県で実施している訳ではなく、上記のように一部の都道府県での実施となっています。
しかし定時制課程及び通信制課程修学奨励資金はなくても、他の制度で奨学金を受けられる場合が殆どなので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせをしてみると良いでしょう。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の申請方法
今回の記事では定時制課程及び通信制課程修学奨励資金について紹介していますが、この制度を利用するにはどのように申請をすれば良いでしょうか。
ここでは制度を利用するための申請方法について、紹介していきます。
必要書類を準備する
制度の利用にあたっては、まずは必要な書類を準備します。
必要な書類は各自治体によっても違いますが、概ね下記のような書類が必要になります。
- 申請書(各都道府県の制定書式)
- 世帯(保護者)の収入を証明するもの
- 生徒本人が収入を得ている事を証明するもの
申請書やその他必要な書類は、各都道府県知事のHPからダウンロード出来る場合も多いです。
HPからダウンロード出来る自治体のリンク先も合わせて紹介しておきます。
各自治体へのリンク先
- 岩手県「高等学校定時制課程及び通信制課程等修学資金貸付について」
- 秋田県「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金について」
- 宮城県「高等学校の定時制課程及び通信制課程修学資金貸付」
- 茨城県「茨城県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」
- 長野県「奨学金様式」
- 鳥取県「奨学金制度」
役所へと提出する
必要な書類が整ったら、役所へと提出します。
ただし都道府県によっては提出先が学校の場合もあるので、どちらに提出するのかは良く確認するようにしましょう。
必要書類と要件を満たしていれば、基本的には制度の利用が出来ますので、後は貸付時期を待つようになります。
また注意したいのが貸付を受けている期間は、自治体によって毎年申請が必要だったり、もしくは貸付の対象となっているかの確認が必要になります。
これを怠ってしまうと、貸付を受けられなくなってしまうので、この点は注意しておきましょう。
貸付時期は年3回
申請が無事に終わったら後は貸付を受けるだけとなりますが、貸付は年3回(7月、11月、3月)に分けて行っている自治体が多いです。
7月であれば4~7月分までの貸付金額を貸与するのが一般的な方式となっています。
ただし自治体によっては年4回や、対象月が異なる場合もあります。
貸付時期については各自治体のHPでも紹介していますので、自分の住んでいる自治体がどうなっているかは一度確認しておくと良いでしょう。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の注意点
今回の記事では定時制課程及び通信制課程修学奨励資金について紹介して来ましたが、高校進学が経済的に困難な方にとってはぜひとも利用すべき制度と言えるでしょう。
月額14,000円とは言え、学費の大きな部分を賄えるのは利用者にとってもメリットがあります。
しかし利用するにはあたっては、ここで紹介するような注意点もあるので、良く認識しておきましょう。
卒業出来なかった場合は返還が必要になる
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は、貸付の制度とは言え無事に高校を卒業出来た場合には返済は不要です。
つまり借入とは言え、実質的には返済不要の給付金のようなイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし返済が不要になるのはあくまで高校を卒業出来た場合であって、卒業出来なかった場合は返済を行う必要があります。
その際の返済期間は、貸付を受けていたのと同じ期間になるので返済金は毎月の貸付金額とほぼ同額になるでしょう。
つまり月額14,000円の貸付を受けていたのであれば、返済額も毎月14,000円となります。
元々返済する予定にしていなかった方にとっては大きな負担になるので、万が一卒業出来なかった場合には注意が必要です。
返還の期日を過ぎると延滞金がかかる
上記のように高校卒業出来なかった場合は借入を返還(=返済)する必要はありますが、この返済に遅れてしまうと延滞金が発生する点にも注意が必要でしょう。
通常貸与を打ち切られた月の翌月~6ヵ月迄に返済は開始して、毎月もしくは半年ごとに分割で返済をする必要があります。
この返済期日を過ぎても返済をしていない場合、返済するべき金額について10.95%もの延滞金がかかってしまいます。
例えば毎月の返済額が14,000円だとすると、1ヵ月遅れるだけで約128円もの延滞金が必要になるでしょう。
返済が遅れれば遅れるほど延滞金の金額は大きくなる点には、注意が必要です。
連帯保証人が2名必要になる
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金を利用するにあたっては、連帯保証人が2人必要になる点にも注意が必要です。
更に連帯保証になってもらう方にも決まりがあって、2名の内1名は親権者である必要があります。
更にもう1名は生徒本人もしくは親権者と、生計を別にする方と決められています。
とても分かりにくいですが、生徒の親権者に加えて別生計(=別居)している方の連帯保証が必要になると考えておきましょう。
つまりこの制度を利用するには親だけではなく、親戚などの別生計の方の協力も必要になると考えておきましょう。
家庭環境にもよりますが、この点は人によっては大きなハードルとなってしまうかもしれません。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金の活用後におすすめの通信制高校
今回の記事では定時制課程及び通信制課程修学奨励資金について詳しく解説してきましたが、この制度を使う事によって高校へ通うという選択肢が増えた生徒も多いでしょう。
しかしいざ高校に通えるとなると、たくさんの高校の中からどこに通うべきか悩む方も多いです。
ここではおすすめの通信制高校を紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
第一学院高等学校
まず最初に紹介する学校は、第一学院高等学校です。
第一学院高等学校は茨城県高荻市と兵庫県養父市の本校のほか、全国に多数にキャンパスを有する通信制高校です。
少し先に入学した先輩が新入生の学校生活をサポートしてくれて、通信制高校と言えども通いたくなるイベントなどが充実しているのが特徴と言えるでしょう。
学べるコースもたくさんあり、勉強を頑張りたい方のための特別コースの他、専門選を極めたい方の芸能コースやスポーツコース、美容やペット、eスポーツなど様々な分野を専門的に学ぶ事が出来ます。
一人一人のライフスタイルに合わせた学習が教育理念なので、自分にペースで様々な分野を学びたい方にはおすすめの通信制高校と言えるでしょう。
ルネサンス高等学校
次に紹介するのがルネサンス高等学校で、通信制高校の中でも特に学校へ通う期間が短い事が特徴です。
スクーリングと呼ばれる登校日は1年間で最短4日しかなく、後はスマホやタブレットを使っての学習となります。
登校日数が少ないからと言って授業内容が薄い訳ではなく、生徒一人一人に担任がついて卒業までしっかりサポートしてくれるでしょう。
また高卒資格を目指すだけでなく、様々な専門分野を同時並行で学べるのも特徴で、eスポーツやK-POP、エステやビューティーなどのスキルも身に付ける事も出来るでしょう。
制服も決まりがなく、とにかく自由に自分のペースで学べるのがルネサンス高等学校の特徴なので、自分のペースで学びたい方にはピッタリの学校と言えます。
鹿島学園高等学校
最後に紹介する通信制高校が、茨城県鹿嶋市にある鹿島学園高等学校です。
本拠地は茨城県ですが全国から入学可能な通信制高校で、ここまで紹介した2校と比べるとオーソドックス高卒卒業資格を目指している通信制高校と言えるでしょう。
学習面や生活面まで相談に乗ってくれる先生は担当してくれて、どのようなスケジュールで学習すれば良いかを一緒になって考えてくれます。
高卒資格だけではなく、たくさんのオプションコースで意欲的に学びたい生徒のサポートを行っているのも特徴で、アニメや漫画、ダンス・スポーツ、eスポーツなど様座な分野で専門的な知識を身に付ける事も出来ます。
伝統ある通信制高校でしっかりと学びたい方には、おすすめの学校と言えるでしょう。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金まとめ
今回の記事では、定時制課程及び通信制課程修学奨励資金について詳しく紹介をしてきました。
経済的な理由から高校に通いたくても通えないという方にとっては、とても役に立つ制度と言えるでしょう。
しかし注意も必要で、高校を卒業出来なかった場合は、返済をする必要があります
また返済期日を過ぎてしまうと延滞金がかかったり、連帯保証人が必要だったりとデメリットもある制度でもあります。
しかし予定通りしっかりと高校を卒業すれば返済が免除されるお得な制度なので、利用出来る方は利用するべきでしょう。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金は都道府県が運営している制度なので、詳細な情報は各自治体のHPなどを確認するようにして下さい。