高校中退後に大学に受験・進学できる4つの方法を徹底解説!
高校を中退したとしても、そこから大学を受験・進学する方法がいくつかあります。
当記事ではそんな高校を中退した人や、中退を考えている人でも大学に進学する方法や、中退後に推薦や就職はできるのか解説していきます。
高校中退後の大学進学は何年生で中退したのかが重要になる
詳しくは後述していますが、高校を中退したあとに大学の受験・進学をするには「高校卒業資格」、もしくは高卒と同等の学力があるという証明である「高卒認定試験」を取得する必要があります。
そして高校卒業資格と高卒認定試験のどちらの取得を目指すべきなのかは、中退をした時の学年によって異なってきます。
- 1年生で中退→高卒認定試験の合格
- 2年生で中退
大学を卒業する自信がある→高卒認定試験
大学を卒業する自信がない→高校卒業資格 - 3年生で中退→高校卒業資格
上記のようになるのは、高校を中退したのが何年生なのかによって取得している単位が違うので、どちらが楽なのかが大きく変わってくるためです。
1年生で中退した場合はほとんど単位を取得できていないので、高卒資格を目指す場合1年生から全てをやり直す必要があるので、大学に行くなら高卒認定試験を目指した方が早いです。
逆に3年生の場合は範囲が広く8~10科目に合格しなくてはいけない高卒認定試験の合格を目指すよりも、1年だけ通信制高校などに通い高卒資格を取得する方が楽です。
2年生の場合は性格に応じて、どちらを選んでも良いでしょう。高卒認定試験だと大学を卒業できなければ最終学歴は中卒のままなので、卒業する自信があれば高卒認定試験を、自信がない場合は最終学歴が高卒になる高卒資格を目指すのが無難です。
通信制高校選びに迷ったら
文部科学省が定める大学の入学資格
なお、大学(短期大学を含む)の入学資格は、文部科学省では次のように定めています。
- 高等学校又は中等教育学校を卒業した者(※)
- 特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者
- 外国において、学校教育における12年の課程を修了した者
- 外国における、12年の課程修了相当の学力認定試験に合格した18歳以上の者
- 高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格した者(18歳以上)
など
(※:中等教育学校とは中高一貫校のことで、中高6年間の課程を修了し卒業することが大学入学資格の条件となります。)
色々と書いていますが、要するには中学校を卒業していて、高校を卒業or高卒認定試験を取得していれば大学に入学できます。
高校中退から大学受験・進学を目指す4つの方法
では、続いて高校を中退した後に大学進学を目指せる方法を紹介していきます。
高卒認定試験と高卒資格を取得できる方法が3種類の、計4つの方法で高校中退から大学進学を目指すことが可能です。
- 高卒認定試験の合格を目指す
- 別の全日制高校へ転校・編入する
- 定時制の高校へ転校・編入する
- 通信制高校へ転校・転入する
この内のどの方法を選ぶかは、前述した通り中退をしたのが高校何年生なのかが重要になってきます。
高卒認定資格を取得する
高卒認定試験は「高校卒業と同等以上の学力がある」ことを認定するための試験です。
合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られますが、8~10の全科目で合格する必要があり、試験は年2回しか実施されていないため、1科目でも不合格だと次の試験まで数カ月間は大学へ進学の道が遅れてしまいます。
高校認定資格試験について
受験資格 | 満16歳以上(試験日が属する年度の終わりまでに満16歳以上であること) |
---|---|
受験科目 | 国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語(国語、数学、外国語は必修、それ以外はそれぞれ数科目の内、いずれかを選択。また、過去に合格した科目がある場合は免除されます。(申請が必要です) |
出願に必要なもの | 受験願書・履歴書・受験料分の収入印紙・写真・住民票または戸籍抄本・過去に合格した科目がある場合は「科目合格通知書」と「単位修得証明書」など) |
募集期間や出願方法などはそのつど文部科学省のホームページなどで確認してください。
全日制高校よりも費用がかからず、合格すれば一部の国家試験(幼稚園教員、小学校教員、保育士試験、第一種・第二種衛生管理者免許試験など)の受験が可能になるなど、メリットは多いです。
ただ高卒認定に合格しても最終学歴は中卒のままですので、大学や専門学校に入学し無事に卒業しないと学歴は「中卒」のままなので注意が必要です。
もう1度全日制の高校に編入・転入する
一度でも高校に入学したことのある人は「高校に在籍していた」ことになるので、別の高校に転校や編入する手続きが取れます。
既に高校を中退している場合は編入、高校を中退を検討している方は転入となります。今の学校の環境が嫌で中退を検討していても、転入により環境が変われば問題なく全日制高校を卒業できるケースもあります。
一方、全日制の高校では編入は帰国子女以外は受け付けていないところが多く、仮に編入ができたとしても来年度の4月からとなるため、同級生よりも卒業が遅れてしまいます。
また、カリキュラムが違うために工業・商業系の高校から普通科への編入や、通信制、定時制から全日制への編入は行われていないことが多いです。
ただ、細かい決まりは学校によって異なりますので、編入したい学校の場合は直接問い合わせてみるといいでしょう。
補足:編入と転入の違い
編入 | すでに高校を中退していて、別の高校に入り直すこと |
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転入 | まだ高校に在籍していて、別の高校に入ること(転校と同じ意味) |
在籍していた高校で取得した単位があれば、編入・転入先の高校でも引き継がれます。
しかし、ここで注意しなくてはいけないのが、高校は「学年制」を取っているところが多く、1年生の途中で退学してしまうと単位が履修できていないと見なされる点です。
もし学年の途中で退学し編入する場合、学年の最初からスタートする事になる学校もあるので、事前の確認が必要です。
一方、転入は学年末に至らず単位が履修していない状態でも、転入先で引き続き勉強ができます。
中退後に全日制高校に通うと失敗する人が多い
ただ、もちろん全員ではありませんが全日制高校を中退後、再度全日制高校に通った人の多くは「結局合わず、もう再度中退」「全日制に通うのが無理だったので通信制高校に転校」「転校しても前と変わらず、高校に行くのが完全に嫌になって不登校に」という状態になっています。
特にいじめや学校が嫌で不登校や引きこもりになり、高校を中退した方は別な全日制高校であっても再度同じ状況になる可能性があるので慎重に検討して下さい。
実際、筆者の知り合いで全日制高校の中退後、もう一度1学年下で全日制高校へ通いなおした方は、結局全日制高校が嫌になってしまい通信制高校に転入しました。
そこでは上手くやっていけたようで、無事に卒業をした後に大学へ進学していました。
定時制や通信制の高卒資格と全日制高校の高卒資格に一切の差はないので、「絶対に全日制高校じゃないとダメなんだ」という目的のある方以外は別の方法を使った方が良いでしょう。
定時制高校へ転入・編入する
定時制高校に転入・編入することで高卒資格を得ることも可能です。同様に以前の全日制高校で単位を修得していれば、その分を引き継ぐことができます。
また、定時制高校の授業は基本的に夜間に行われるので、朝早く起きるのが苦手で中退した方にもおすすめです。
授業は1日4時間、17時~21時で行われることが多く、全日制高校よりも自由な時間が多いで働きながら高校卒業を目指すことも可能です。
卒業には最短でも4年かかることが多い
授業のコマ数が少ない分、卒業までにかかる時間は4年と長いのがネックです。ただ、最近は定時制ながら1日6時間の授業を行い、3年で卒業できたり、昼間にも授業をやっている学校もあります。
この辺りはそれぞれの学校によって規定が異なるので、入りたいと考えている通信制高校があるなら事前に確認しておきましょう。
通信制高校へ転入・編入する
高校中退から大学受験・進学を目指す場合、もっともおすすめできるのがこの方法となります。
実際、全日制高校を中退した人が一番多く利用するのが、通信制高校への転入・編入となっています。
通信制高校も全日制高校で単位を履修していれば問題なく引き継げる他、以下のようなメリットがあるのが特徴です。
- 登校日数が年に数回や週1回で済むので負担が少ない
- 必修科目以外にもゲームや声優、イラスト、美容、スポーツなどのコースがある
- 令和2年4月よりの就学支援金制度により、費用が安く済むようになった
- 働きながらでも問題なく卒業できる
- 卒業が一番ラクなのに全日制高校と同じ高卒資格を得られる
上記のような事情から、2年生以降で高校を中退した方は通信制高校が最適です。
中退したのが一年生の場合は高卒認定試験を目指す道がおすすめですが、独学で勉強するのが苦手な場合は1年生であっても通信制高校へ編入するのも手です。
各学校の詳細は以下から無料の資料請求で確認できますので、まずは何校かの資料を一括で請求して確認してみると良いでしょう。
通信制高校選びに迷ったら
高校中退しても大学に推薦入試は受けられる?
結論から言うと、高校中退でも問題なく推薦入試を受けることは可能です。
ただし中退後に在籍している高校、または在籍していた学校の校長からに推薦が必要となります。
そのため、在学中の素行や成績、高卒認定試験の場合は点数が重要になってきます。
高校中退でもAO入試も受けられる
高卒認定、あるいは高校中退後に通信制高校などに通ったとしても、AO入試も問題なく受験することが可能です。
特に慶応大学のような一部大学では、高卒認定の方を対象にしたAO入試の枠があります。
高卒認定の場合は推薦を受けられない学校もある
ただ、高卒認定の場合は全ての大学で推薦入試を受けられるワケではありません。
※高校中退後に通信制高校などに転入し、卒業した場合は問題なし。
全国に795ある大学のうち、高卒認定で推薦を受け入れているのは約200校です。(短大は約240校)
昔よりは高卒認定でも推薦を受け入れている大学は大きく増えていますが、それでも全ての大学で公募推薦や自己推薦を受け入れていません。
高校中退から大学進学すると就職で不利になる?
結論から言うと、高校を中退した後に大学に進んだからといって、不利になることはほとんどありません。
大学を卒業していれば企業は最終学歴である「大卒」で判断するため、一部上場企業であっても問題なく面接に通ります。
筆者の知り合いで高校中退後に地元大学へ通った方も、問題なく大手企業に内定をしていました。
特にIT系や一部外資系などは学歴よりもスキル、実績が重視される傾向にあるので、高校中退でも好条件で働きやすいです。
業界によっては高校中退を気にすることもある
ただ、大手銀行や金融系などの一部業界は経歴を重視するため、高校中退の学歴が影響することがあります。
とはいえ銀行や金融業界でも高校中退を気にしないところはありますので、高校中退であっても大学に進学し、卒業できていれば問題になることはほとんどないです。
大学の中退には要注意
先程も軽く触れましたが、大学を中退してしまうと当然ですが学歴は中卒(中退後、通信制高校などを卒業していた場合は高卒)になります。
そして大学を中退すると履歴書には「高校中退」と「大学中退」という経歴が並ぶため、正直に言って面接官からの印象はあまりよくありません。
二度も中退の履歴があると、実際はそうでなくとも「すぐやめられそう」「問題がありそう」「逃げ癖がついてそう」と思われてしまうのが、残念ながら今の日本です。
大学も中退してしまうと就職においても大きく不利になると言わざるを得ませんので、高校中退後に大学に入れた場合は中退はしないように気をつけて下さい。
高校中退から大学受験・進学を目指す方法まとめ
高校中退から大学受験・進学を目指す場合は今回紹介した4つの方法の内、もっとも自分に合っていそうなものを選びましょう。
- 高卒認定試験の合格を目指す
- 全日制高校に転入・編入する
- 定時制高校に転入・編入する
- 通信制高校に転入・編入する
どの方法もそれぞれメリット・デメリットがありますが、総合的に見てももっともおすすめなのは通信制高校です。
全日制高校中退者は毎年約29,000人も出ている
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、年度によりますが毎年約29,000人は高校を中退をしています。
課程 | 中退者数 | 中途退学率 |
---|---|---|
普通科 | 19,021人 | 0.8% |
専門学科 | 7,716人 | 1.1% |
総合学科 | 2,033人 | 1.2% |
これだけの方が中退をしており、そして中退後でも問題なく大学に進学できることからもわかる通り、あなたが選んだ、あるいは選ぼうとしている中退という選択肢は、決して取り返しのつかない選択肢ではありません。
自分に合った選択肢を選び、大学への進学を成功させましょう。