通信制高校を卒業した150人にアンケート!78%は通信制進学に満足と回答
2021年3月、通信制高校広場 編集部は実際に通信制高校に通い、卒業した方150人を対象にアンケート調査を実施しました。
主な調査内容は通信制高校の卒業者の進路、入学・転入の理由、かかった学費、卒業者の就業形態などです。
また、卒業者が通信制高校に通ったことをよかったと考えているか、それとも後悔しているかについての回答データもあります。
当記事ではそれらのアンケート結果をまとめ、レポートしてまいります。
実施 :通信制高校広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年4月8日 ~4月9日
調査対象:
[予備調査]全国の20~45歳以下の男女計5,000人
[本調査 ]実際に通信制高校に通い、卒業したことがある方
回答者数:150人(男性 58人 女性 92人)
今回のアンケートでは、まず予備調査として全国の20~45歳以下の男女計5,000人にアンケートを行い、「高校は通信制高校に通っていた方、通信制高校に通って卒業した方」を抽出しました。
その結果、150人の方に本調査を行うことができましたので、以下にレポートをします。
通信制高校を卒業した後の進路は進学が28%
まず通信制高校を卒業した方に、卒業後の進路についてアンケートを取りました。
これは、通信制高校に進学する方の心配事として多いのが、『通信制高校を卒業しても進学も就職もできないのではないか』という不安であるためです。
しかし、調査によれば大学・短大へ進学した人が28%と「進学・就職はしなかった」以外ではもっとも多く、次いで就職した人が22.67%、専門学校に進学した人が19.33%と続きました。
進学・就職はしなかった人が28.67%というデータも出ていますが、この数字には無職の方だけでなく自営業やフリーランスになった方も多く含まれています。
そのため、総合的に見れば多くの方が卒業後に進学、就職に成功していると言えるでしょう。
通信制高校を卒業した人の約8割は現在、就職している
上記データには通信制高校を卒業した後、すぐに就職せず大学へ通った方なども含まれていますが、それでも2021年4月現在で無職と回答したのは約2割だけでした。
つまり8割の方は通信制高校を卒業した後に就職できているということです。
※『その他』はフリーランス、専業主婦、自営業等。
一時は『通信制高校を卒業しても就職できない』という風に言われていましたが、近年は通信制高校の方が専門的なスキルや経験を得やすいケースも多々あり、それがデータにも現れていると言えるでしょう。
通信制高校を選ぶ理由は登校日数の少なさや人間関係が多い
通信制高校への入学・転入を選んだ理由について調査(複数回答可)したところ、もっとも多かったのは『全日制より登校日数が少ないから』『いじめや人間関係の悩みがあったから』という回答で、割合はそれぞれ36%でした。
次点では『不登校であっても通信制高校なら入学できるから』、というものがありました。
この結果から、通信制高校のスタイルは全日制高校で悩む方にとって、必要な受け皿と言えるでしょう。
通信制高校に通った方の内、78%が通ってよかったと回答
通信制高校における悩みとして進学・就職に次いで多いのが、『通ったことを後悔しないか』という悩みです。
Googleで通信制高校について調べる際、サジェストワードとして「後悔」が表示されることからも、気になっている方が多いのは明白でしょう。
そこで、通信制高校の卒業者150人に対し、『通信制高校に通ってよかったと思っているか』質問をしたところ、78%もの方が通ってよかったと考えていることが明らかになりました。
通ってよかったと回答した方の理由
- 高校中退で学校に行けなくなりましたが、親から高校だけは出ていたほうが良いといわれ通信制の高校を選択しました。勉強もマイページででき、ストレスもなく、途中くじけそうになりましたが何とか最後までやり通せました。その後国立の大学を受験(理数科)して地元の大学に合格しました。目標をもって勉強すれば必ず希望はかなえられると自信もつきました。(34歳/男性)
- 自分のやりたいことが自由にできました。(20歳/男性)
- 効率よく単位を取得して卒業できるからです。(24歳/女性)
- 人数が少なくて、一人一人に細かい対応をしてくれてよかったです。登校は教室っぽくない場所で楽でしたし毎日行かなくても良かったです。辛ければ別室もあって、普通の学校にはない行事も多くて楽しく通えました。(19歳/女性)
- 普通の高校を一日で中退して人生色々回り道しましたが、通信制に入って色んな人と出会って人生観が変わったからです。間違いなく今の自分の形作っていると思います。(40歳/男性)
- 中学の頃、不登校だった為通信制を選びました。最初は月に2回の登校日に通えるか心配でしたが、年齢関係なく友達ができ先生のご指導もあり、4年間掛かってしまいましたが卒業する事が出来ました。自学自習も向いていたのか、奨励賞も頂けて嬉しかったです。(34歳/女性)
- 中学生の時に不登校を経験して、普通の高校には通いづらかったのでとても助かったからです。通って後悔はないです!(20歳/女性)
- 校風が自分に合っていたし気の合う先生と出会えたからです。自分と真剣に向き合ってくれる友人と出会えたのも良かったです。(18歳/女性)
このように多くの方が通信制高校で「自分のペースで勉強ができる」「登校回数が少ないのでストレスがない」「先生がよかった」といった回答をしていました。
一方で通ったことに対して否定的だった、22%の方の回答についても紹介していきます。
通ったことを後悔している方の理由
- クラブ活動が充実してなかったからです。(36歳/男性)
- 本当は有名な全日制に通いたかったからです。(36歳/男性)
- 友達と会う機会が少ないからです。(45歳/女性)
- 一生に一度の高校生活で行事もあまりなく友人も出来なかったからです。出来るのであれば全日制の方に行けばよかったかもしれないです。(19歳/女性)
- 全日制の方が友達ができるからです。(40歳/男性)
通ったことを後悔している主な理由は「友達ができにくい」「友達と会う機会が少ない」といった、友人関係に関するものでした。
前述した通り通信制高校に通う方の多くは、前の学校でいじめや人間関係によるストレスがあったり、通信制高校の登校日数の少なさに魅力を感じて入学・転入を選びます。
しかし、実際に卒業して時間が経つと、通信制高校のメリットであるはずの登校日数の少なさ、人間関係なしで卒業できるといった部分が仇となり、後悔に繋がってしまう方もいるようでした。
ただ『通ってよかった』と回答している方の中には「友人を作れた」という人も多いので、一概に通信制高校だから友達ができないというワケではありません。
この辺りは選んだ学校、選んだコース(登校日数など)による所が大きいでしょう。
通信制高校の学費は101万~200万未満がもっとも多い
続いて通信制高校の卒業までにかかる学費について調査しました。
結果、「101万円~200万円」と回答したが20%ともっとも多く、次いで「50万円未満」と回答した方が19.33%と多かったです。
「101万円~200万円」は少し高いと考える方も多いかもしれませんが、通信制高校の卒業にかかる年数は平均3年なので年間で必要な学費は上記金額の1/3となります。
また、このように回答がバラけているのは、通信制高校は選ぶ学校によって必要金額が大きく異なっているためです。
公立であれば年間数万円ほどの費用で済みますが、私立は安い所なら年間10万円ほど、高い所だと年間で100万以上の費用がかかります。
学費は就学支援金制度でかなり抑えられる
ただ、令和2年4月より通信制高校も就学支援金を受け取れることになっています。
世帯年収が910万以下の家庭であれば公立の通信制高校は実質無料、私立であってもかなり学費を抑えられることが多いです。
そのため、昔のように『通信制高校は学費が高くて通えない』というケースはかなり減っています。
参考:https://www.eulerarchive.com/knowledge/compare.html
まとめ
今回のアンケートの結果から分かる通り、決して通信制高校への進学は将来に悪い影響を与えません。
むしろ多くの方は通信制高校への入学・転入をしてよかったという結果になっています。
ネックとなりやすい学費も、令和2年より適応された就学支援金制度でかなり抑えられますし、就職に関しても問題なく行うことができます。
通信制高校への進学という選択肢は、十分にアリと言えるでしょう。
通信制高校広場について
当アンケート調査を行った通信制高校広場は、不登校やいじめなどの悩みを抱える方の不安を軽減し、将来に向けて悩みを解決していくきっかけを提示することをサイトの使命と考えています。
その理念に基づき、不登校になった時に本人が知るべきこと、両親が知るべきこと、学校に行くのが辛くて悩んでいる時に全日制高校だけでなく通信制高校という新しい道があることなどを皆様にお伝えしてまいります。